GMOあおぞらネット銀行がサンドボックス環境で提供するMCPサーバーを15ケースで実測し、実行の可否をAIに決めさせない統制の設計原則を公開
株式会社アウラム(本社:東京都中央区、代表取締役:福田和博、以下「アウラム」)は、実物資産の所有権や担保権の状態を、現物を動かさずにブロックチェーン上で記録し、第三者が独立に検証できるようにする「動産デジタル台帳」を核として、資産の売買、担保化、代金の決済までの一連の金融プロセスを、AIエージェントとスマートコントラクトで自動化するオンチェーン金融プラットフォームの構築を進めるスタートアップです。このたび、GMOあおぞらネット銀行株式会社が2026年7月に公開した、AIエージェントから銀行APIを操作するためのMCPサーバー(サンドボックス環境「sunabar」)を、当社プラットフォームの決済オペレーションの実務シナリオに当てはめて検証し、その結果を同行に報告するとともに、13項目の照会にご回答をいただきました。
アウラムは2026年6月に実物資産の売買に伴う所有権移転を、7月にその所有権を担保としたオンチェーン・レンディングと、担保価値を守る自律AIエージェント「Oracle Guardian Agent」を、それぞれ実証・公表してまいりました。第3弾となる本検証が扱うのは、残る決済のレイヤーです。問いは1つ:AIエージェントに資金移動を伴う操作を代行させるとき、何をどの層で守るべきか。本検証の判定ゲートを含む検証システムは、AIを駆使して一人で開発を進める「AIソロプレナー」として、代表の福田自身が設計・実装したものです。エージェント4体に自然言語のポリシーを設定し、自社の台帳側にも決定論的な判定ゲートを実装したうえで、15のテストケースにより両者の判定を突き合わせ、「AIエージェントに任せる範囲と、人間の判断が必要な範囲」の設計原則を導きました。
本リリースのポイント
1. 銀行API×AIエージェントの統制を実務シナリオで実測:購入代金の入金確認から所有権移転の記録までの決済オペレーションを題材に、銀行側の自然言語ポリシーと事業者側の判定ゲートの二層で、15のテストケースを検証しました。
2. 設計原則「AIに実行の可否を決めさせない」を公開:調査・突合・説明・起案はAIに委ね、実行の可否は業務の文脈を保持する決定論的なルールが判定し、資金の払出しは人間が承認する3層の役割分担です。業務の文脈を要する判定は、必要な情報が銀行側に存在しないため、事業者側でしか担保できないことも実測で確認しました。
3. 資産・担保・決済の3レイヤーをAIエージェントで貫く金融基盤へ:検証結果は同行に報告し、13項目の照会にご回答をいただきました。アウラムは本知見を決済連動機能の本格実装に適用するとともに、AIエージェントによる業務代行の統制設計について、日本ブロックチェーン協会のAI分科会等での議論と、金融機関・事業者との意見交換を進めます。
背景
AIエージェントが銀行口座を操作する時代が、すでに始まっている
2026年に入り、金融機関が提供するAPIをAIエージェントから操作するための環境整備が急速に進んでいます。GMOあおぞらネット銀行株式会社は2026年5月に「Agentic API」の構築方針を公表し、同年7月には同行のサンドボックス環境「sunabar」において、AIエージェントが自然言語の指示で残高照会・入出金明細取得・振込等を実行できるMCPサーバーを公開しました。
MCP(Model Context Protocol)は、Anthropic社が2024年に公開した、AIモデルと外部のツールやデータを接続するためのオープンな標準規格です。金融機関のAPIがこの規格に対応することは、AIエージェントが資金移動の主体となりうることを意味します。
一方で、AIエージェントに資金移動を伴う操作を委ねる場合、「何を実行してよいか」を誰がどの層で決めるのかという問いが生じます。
アウラムにとって、この問いは事業設計そのものである
アウラムが構築を進めるオンチェーン金融プラットフォームは、資産の登録から売買・担保化・決済までの各プロセスにAIを組み込む設計です。すでに公表した担保価値の監視(価格データの異常を自律的に検知・遮断する「Oracle Guardian Agent」)に加え、資産登録時の刻印自動読取、そして本検証が扱う決済オペレーションの自動化と、適用範囲を広げています。資産の移転・担保権の実行・資金の決済がすべてプログラムで動く金融基盤において、「AIにどこまで任せ、どこから人間が判断するか」の設計を誤れば、誤った資金移動や誤った権利移転に直結します。そこで、公開されたMCPサーバーを自社の実務シナリオに当てはめ、統制の所在を実測により確認しました。
検証の概要
| 検証環境 | GMOあおぞらネット銀行のサンドボックス環境「sunabar」のMCPサーバー(2026年7月17日公開) |
|---|---|
| 題材 | 当社プラットフォームの決済オペレーション:お客さまが実物資産(ゴールドのインゴット)を購入し、入金の確認を経て所有権の移転が記録される流れ |
| 構成 | エージェント4体を登録し自然言語のポリシー(150字以内)を設定。アウラム側にも注文・在庫・移転の状態を保持する決定論的な判定ゲートを実装し、両者の判定を突き合わせ |
| 規模 | 15テストケース(1日で実施)・MCPサーバーが提供するツールは全22種 |
検証結果は報告書として同行に送付し、13項目の照会に対するご回答をいただきました。
※ 以下の実測はすべてsunabar環境におけるものであり、本番環境での挙動を確認したものではありません。sunabar環境の利用契約は、当社代表・福田和博が代表を兼務する株式会社ハンズオンの名義であり、本検証は同社の協力のもとアウラムが実施しました。
実測により確認された事項
1. 銀行側の自然言語ポリシーは、高い精度で機能する
エージェントごとに150字以内の自然文で設定した制約(金額の上限・操作種別の限定・日時)に対し、条項ごとに個別の評価が行われ、違反していない条項についても根拠が記録されることを確認しました。上限超過の振込に対する判定の実測例です。
リクエストの振込金額80,000円がポリシー上限の50,000円を超過しています。
現在時刻12:24:53は許可時間帯09:00:00〜17:00:00内です。
本日2026-07-27は月曜日(平日)で、平日のみ許可ポリシーに該当します。
リクエストは振込依頼(transfer)であり、振込入金口座操作は禁止されています。
2. 業務の文脈を要する判定は、事業者側でしか担保できない
次の各ケースは、いずれも正当な口座に、正当な形式で、正常に着金しており、銀行から見て異常は何もありません。しかしアウラム側の判定ゲートで停止しました。
| ケース | 銀行側 | アウラム側ゲート |
|---|---|---|
| 注文金額と異なる金額の入金 | 異常なし | 停止 |
| 注文者と異なる名義での入金 | 異常なし | 停止 |
| 同一注文への二重入金 | 異常なし | 停止 |
| 引き当て可能な在庫がない | 異常なし | 停止 |
| 移転が完了していない分までの精算 | 異常なし | 停止 |
これらが銀行側で止まらないのは、ポリシーの精度の問題ではありません。判定に必要な情報(注文・在庫・移転の状態)が、そもそも銀行側に存在しないためです。境界線は「リクエストの内容だけで判定できる制約(金額・操作種別・日時)は銀行側で評価される。判定に業務の文脈が要る制約は評価されない」と整理できます。
3. AIの申告は、確定の根拠にならない
AIエージェントが銀行APIに渡す「実行理由」は呼び出し側の自己申告であり、銀行側で検証されない参考情報であることを、実測と同行へのご確認の双方で確認しました。同様に、ツールの説明文に自然言語で記述された実行手順も、引数として強制されるものではありません。これは特定の銀行に固有の性質ではなく、ツールの説明文は、AIモデルに文脈と使い方を伝えるためのものであり、アクセス制御の機構として設計されたものではないためです。したがって、AIの出力を監査に用いる場合は、事業者側の独立した記録と突き合わせる必要があります。
4. 依頼の成立と資金の確定は非同期である
銀行APIによる振込は、AIエージェントがAPIで依頼を実行した時点では成立せず、その後に口座保有者(人間)による取引認証(承認)を経てはじめて確定します。この構造のもとでは、依頼のレスポンスを確定として扱う、人間の「承認しました」という申告を確定として扱う、時間経過から失効を推定する、といった誤りが生じやすくなります。AIエージェント側は、依頼が確定したかどうかを自ら確かめに行く実装が必須になるというのが、本検証から得た設計原則です。この点は同行への照会でも、冪等キーによる二重実行の防止と、結果照会APIによる確定の確認という具体的な手段のご回答をいただいています。
アウラムが考える役割分担:AIに任せる範囲、人間が判断する範囲
本検証から導いた、AIエージェントに資金移動を伴う業務を代行させる際の役割分担の設計原則です。
| 層 | 担うもの | 具体例 |
|---|---|---|
| AIエージェントに任せる | 調査・突合・説明・起案 | 入出金明細の照会と注文情報との突合、異常の検知と状況の説明、対応案の提示 |
| 決定論的なルールに任せる | 実行の可否の判定 | 入金額・名義・二重入金・在庫・精算状態の条件をすべて満たした場合にのみ実行を許可。AIの申告にも人間の口頭指示にも上書きさせない |
| 人間に残す | 資金の払出しの承認、ルールの設計、監査 | 精算・返金など資金が出ていく操作の最終承認、判定ルールそのものの変更、追記のみのログによる事後検証 |
要点は、AIエージェントに実行の可否を決めさせないことです。AIの判断は「なぜそう考えたか」の説明とともに提示させ、実行の可否は業務の文脈を保持する決定論的なゲートが判定し、資金の払出しは人間の承認を経る。銀行側のポリシーは意図の宣言として有効に機能し、事業者側のゲートと二層で組み合わせることで、どちらか一方に依存しない統制になります。
アウラムはこの設計方針を一貫して採用しています。2026年7月に公表した、ゴールド価格データの異常を自律的に検知・遮断するAIエージェント「Oracle Guardian Agent」でも、判断と説明はAI(Anthropic社の大規模言語モデル「Claude」)に委ね、遮断の執行は決定論的なルールで行う構成としました。本検証のエージェントも同じくClaudeを用いて実装しています。
今後の展開
アウラムは、本検証で確認した二層統制の設計原則を、購入代金の着金確認と所有権移転の記録を連動させる決済機能の本格実装に適用してまいります。その先に目指すのは、資産の移転と資金の決済を単一の手続きで同時に成立させる仕組み(DVP)を、実物資産の取引にもたらすことです。トークン化預金やステーブルコインなど、プログラム可能な決済手段にご関心をお持ちの金融機関との連携を歓迎いたします。
また、AIエージェントによる業務代行の責任の所在と統制設計について、日本ブロックチェーン協会のAI分科会等での議論を進めるとともに、同様の課題に取り組む金融機関・事業者との意見交換を歓迎いたします。
AURAMプラットフォームの概要
「AURAM(アウラム)」は、金インゴット等の実物資産の所有権を、ブロックチェーン上の譲渡制限型NFT(ERC-721を参照した独自実装)として記録・管理する「動産デジタル台帳」プラットフォームです。民法第184条「指図による占有移転」をオンチェーン実装することで、金庫内に保管した金インゴットを物理的に動かすことなく、その所有権のみを安全に移転できる仕組みを構築しました(特許出願中)。
▶ 第1弾(2026年6月29日)金インゴットを金庫から動かさずに所有権を移転する売買の技術実証をアウラムが実施 ~取引・保管パートナーの募集を開始~(PR TIMES掲載ページ)
▶ 第2弾(2026年7月6日)ゴールドRWAトークンを担保としたDeFi型オンチェーン・レンディングをアウラムが実施 ~金価格データの異常を自律的に検知・遮断するAIエージェントも開発~(PR TIMES掲載ページ)
代表者プロフィール
代表取締役 福田 和博(ふくだ かずひろ) プロフィールページ
東北大学大学院情報科学研究科においてマルチエージェントAIの研究に従事した後、株式会社東芝、ソニー株式会社を経て起業。以降、自ら立ち上げた事業を3度にわたりM&Aで売却してきた連続起業家。
事業経営の傍ら、個人投資家として不動産・株式・エンジェル投資に加え、金インゴットをはじめとする実物資産への投資を続ける中で、流動性の低さ・来歴の不透明さ・担保活用の困難さといった数多くのペインを実体験。「この未解決課題を、技術とビジネスの力で必ず解消できる」という確信のもと、2026年に株式会社アウラムを創業。
株式会社アウラム 会社概要
企業理念:「信頼を、創造する。眠る実物資産を、手放さずに活かせる世界へ。」
金(ゴールド)をはじめとする実物資産の確かな価値は、「安全」と引き換えに金庫の中で眠りがちです。アウラムは、現物を金庫から動かすことなく、その所有権と担保の状態を改ざんできない動産デジタル台帳に記録し、保有者のプライバシーを守りつつ、金融機関など認められた第三者が必要なときに真正性を検証できる信頼の基盤を築きます。一度築いた信頼はモノに寄り添い続け、眠る実物資産は、手放さないまま安心して取引でき、担保として活かせる資産に変わります。法人にはインフレや為替変動への備えと流動性を、個人には着実な資産形成を提供します。
| 会社名 | 株式会社アウラム(AURAM Inc.) |
|---|---|
| 所在地 | 〒103-0026 東京都中央区日本橋兜町17-1 日本橋ロイヤルプラザ706 |
| 代表者 | 代表取締役 福田 和博 |
| 設立 | 2026年2月25日 |
| 資本金 | 500万円 |
| 事業内容 | 実物資産取引プラットフォームの運営、ブロックチェーンを活用した動産の所有権・担保の記録(動産デジタル台帳)サービス、資産運用に関するメディア運営 |
| URL | https://www.auram.co.jp/ |
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